なぜ、土地改良区に賦課金を支払うの?

   土地改良法第36条において・・・
「土地改良区は、定款の定めるところにより、その事業に要する経費にあてるため、その地域内にある土地につき、その組合
に対して金銭を賦課徴収することができる」とあります。

 定款とは、土地改良区の決まりごとを定めたもので、土地改良区の設立認可を受ける際に必要となり、地域(組合員)の代
表者が集まって開催される土地改良区の意思決定機関である『総代会』で決まります。
 土地改良事業とは、かんがい・排水施設、農業用道路、の農用地の保全、農業施設の新設・管理・廃止・変更、区画整理、
農用地の造成・埋め立て・干拓、災害復旧、交換分合などを言います。(土地改良法第2条第2項)
 天狗岩堰土地改良区の行う事業は、坂東大堰土地改良区連合施設から引水する「かんがい施設」の維持管理と定款で定めら
れています。
 土地改良事業を実施するためには、土地改良事業に参加する資格を有する者(以下「3条資格者」という)が15人以上集
まり、その者が所有(耕作)する土地を含む地域を定め、知事の認可を受けて「土地改良区」を設立しなければなりません。
 知事の認可を申請するには地域内の3条資格者の3分の2以上の同意が必要になります。同意が得られれば、定款など必要
な事項を定め、認可申請することができます。認可が下りれば、地域内の3条資格者は総て(同意を得られなかった3分の1
の者も含め)土地改良区の組合員となります。(土地改良法第5条)
 このように農業の生産性の向上と効率化を図る為、地域内(天狗岩堰土地改良区の受益地内)の農業者が集まり、かんがい
施設(農業用用水路)の整備などを実施するために設立されたのが「土地改良区」です。
 土地改良事業で造成したかんがい施設(農業用用水路)を将来に亘り、維持・管理していくために「賦課金」が必要になり
ます。
 賦課金は、これから新たに施設を造成するための「負担金」でも、水を使うための「水利費」でもなく、地域内のかんがい
施設を守り続けていくための「組合費」です。                       

もう、田んぼ(稲作)をしていないのに、なぜ賦課金を支払うのか?

     組合員の田に水を供給する「かんがい施設」は、稲作を効率的に行えるよう、多額の税金を投入して「土地改良事業」により
    整備さたものです。「もう稲作をしないから、水路は使わない」では困ってしまいます。
     土地改良法では、「その地域内の土地につき、その組合員に対して金銭を賦課徴収することができる」とあります。「地域内
    の土地」とは、天狗岩堰土地改良区の主な事業は「かんがい施設の維持管理」であるため、かんがい施設から給水する『田』の
    みを賦課の対象としています。
     現況が「畑」や「雑種地」となり、農業用水を使わない状態であっても、登記簿地目が『田』の場合は、「かんがい施設」を
    いでも利用できる状態(農地性)にあるため、賦課徴収の対象となります。減反や休耕田・転作田であっても、地目が『田』
    である限り、賦課徴されます。
     賦課金は土地改良法に規定され、土地改良法に基づき徴収されます。減反政策やTPP合意を理由に耕作しなくなった場合で
    も賦課金は、今までに整備された「かんがい施設」を維持管理するためのものとして徴収されます。
      国の政策とは直接関連がなく、耕作の有無に関係なく、地目が『田』の場合は賦課徴収されます。

農地転用して、農地(田)でなくなったのに、なぜ決済金を支払うの?

   土地改良法第42条第2項において・・・
 決済金も賦課金と同様に土地改良法において以下のように規定されています。

「土地改良区の組合員が組合員たる資格に係る権利の目的たる土地の全部または一部についてその資格を喪失した場合におい
て権利義務の継承または3条資格の交代がないときは、その者または土地改良区は、その土地の全部または一部につき、その
者の有するその土地改良区の事業に関する権利義務について必要な決済をしなければならない」とあります。

 組合員が所有する田(組合員たる資格に係る権利の目的たる土地)を農地転用や地目変更などの正式な理由で「田」を「田」
として使用しなくなったときは、土地改良区に対し「決済金」を支払わなくてはなりません。
 組合員が死亡した場合や加齢により耕作不可能となった場合は、その者の組合員資格を新たに耕作する者に継承(権利義務
継承)するか、使用貸借等により、別の者へ交代(3条資格の交代)することになります。
 ※特別な理由なく単に耕作しなくなっただけでは、原則として決済することはできないので、ご注意下さい。

 決済金も賦課金と同様に「もう稲作をしないから、水路は使わない」「農地転用したから、もう関係ない」では困ってしま
います。
 土地改良事業で造成された「かんがい施設」でもある『天狗岩用水』は、先人が苦労して築きあげてくれた大切な財産です。 「決済金」は、天狗岩用水を将来に亘って維持管理していくための費用を決済時点に負担していただくものであり、残った
組合員だけにその負担を負わせることがないよう公平を保つためのものです。

 なお、賦課金及び決済金の額は、毎年度開催される土地改良区の意思決定機関である『総代会』において決定されます。
 決済金の算定基準は、かんがい施設の法定耐用年数等を考慮し「35年分の賦課金」を基準として負担いただいています。          
   土地改良法第43条において・・・
「土地改良区の地域内の土地の全部または、一部について組合員たる資格を取得し、または喪失した者がある場合には、その
は、その旨をその土地改良区に通知しなければならない」とあります。上記の例のとおり、組合員資格を喪失するような事
由が発生したときは、組合員の皆さんから報告(届出)をしていただくことになります。
「決済金」は決済時点から「35年分の賦課金」相当額になります。農地転用等により所有する「田」が減少したにもかかわ
ず、報告(届出)されていないと、そのまま毎年賦課徴収されてしまうこともあります。
 正式な手続きをしていただくようご協力のほどよろしくお願いいたします。 

ずっと賦課金や決済金を支払わなかったらどうなるの?

   土地改良法では滞納処分について以下のように規定しています。
「土地改良区は、賦課金等若しくはこれに係る延滞金又はその延滞金以外の過怠金を滞納する者がある場合には、督促状によ
り期限を指定してこれを督促しなければならない(第39条第1項)」
「土地改良区は督促または請求をした場合において、その督促または請求を受けた者がその督促または請求で指定する期限ま
でにこれを完納せず、または履行しないときは、市町村に対し、その徴収を請求することができる(第39条第3項)」
「市町村が請求を受けた日から30日以内にその処分の着手せず、または90日以内にこれを終了しない場合には、理事は、
地方税の滞納処分の例により、都道府県知事の認可を受けて、その処分をすることができる(第39条第5項)」
「徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし(第39条第7項)と規定されています。

 納入期限が過ぎても賦課金が納付されない場合は、まず、督促状を送付するなどの手続きをします。地方税の例に基づき一
連の手続きを行い、それでも納付されない場合は、土地改良区の理事は県知事の認可を受けて滞納処分をすることができます。 認可後は、催告書等により最後通告をし、それでも納付されない場合は、「財産の差押え」をすることになります。

 天狗岩堰土地改良区では、今まで滞納処分の例などなく、毎年、組合員皆さんから自主的な納付にご理解・ご協力いただい
おります。今後も賦課金及び決済金の趣旨にご理解いただき、円滑な納付にご協力いただくようお願いいたします。

※ご不明な点がございましたら、下記までお問い合わせ下さい。

 TEL:027-251-4937 FAX:027-253-7754 メールアドレス:tenguiwa@opal.plala.or.jp